頻繁に改正される交際費
会社を経営していく上で会社経費の支払いは必要不可欠ですね。
ところがその会社経費のうち、法人税を計算する上では損金(法人税法上の経費)にならないものがあります。その代表たるものが「交際費」です。
この「交際費」は法人税法上頻繁に改正が行われており、強化されたり緩和されたりと様々です。では現在はどうか?といえば・・過去20年を比べると緩和されています。(令和3年現在)
交際費の範囲
交際費とは法人が得意先や仕入先等を接待、慰安、贈答品等(以下「交際費等」といいます)の支出のために要する費用をいいます。
但し次については交際費等から除かれます。
1.従業員の慰安等による旅行などで通常要する費用
2.飲食等の内その支出金額を参加人数で割った金額が5,000円以下の費用
(税込処理している法人は税込で5,000円、税抜処理している法人は税抜で5,000円です)
(一定の要件を満たした領収書等の保存が必要です)
3.その他
①カレンダー等広告宣伝の費用
②会議に関連して茶菓子や弁当などの内通常要する費用
③その他
交際費等の限度額
法人が支出する交際費等の金額には、法人税法上限度額が定められています。この定めは期末の資本金が1億円以下(中小法人)かどうかで違ってきます。
今回は「中小法人」(期末の資本金が1億円以下)について述べていきますね。
(1)800万円(「定額控除限度額」といいます)
但し、この規定は1事業年度で800万円ですので、「新設法人」や「事業年度を変更」した法人については月数案分されます。
(例)
4月に法人を設立し12月決算の場合では事業年度は9か月間となり
800万円×9/12=600万円 となります。
(4月3日に設立した場合など1月に満たない場合でも1月と計算します)
(2)交際費等の金額の内、得意先や仕入先等との飲食その他これに類する行為のための費用の50%相当額
上記の(1)又は(2)のいずれかの範囲内であれば交際費等の全額が損金(法人税法上の経費)となります。「これを超えてしまうとその超えた金額部分が法人税法上では経費とならず(「損金不算入」といいます)法人税の課税対象となります。
<会計事務所から一言コーナー>
冒頭にも述べましたが、交際費の取り扱いは強化されたり緩和されたりと頻繁に改正が行われる項目です。
現在(令和3年)こそ「定額控除限度額」が800万円と大幅に緩和されていますが、過去20年間を振り返ると「定額控除限度額」は400万円が一番多かったように思います。
一時は400万円のうち損金(法人税法上の経費)にするのは90%部分だけ(きっちり400万円ならば360万円)なんて時もありました。
今後は800万円よりもさらに緩和されるのか?また強化されてしまうのか?わかりませんので税法改正には注意しておきましょう。
尚、今回のお話は「中小法人」に限ってですので、「大法人」はまた規定が違います。そして「個人事業者」には交際費等の限度額などないのですよ!!!