従来は会計ソフトや請求書等の事務処理をパソコンで行う場合には、必ずDVD等の現物を購入しなければならなかった為、DVD等の整理や保管場所にこまったものです。

最近よく耳にするクラウド(クラウド・コンピューティング)は、ネットワークを経由して利用するので、ソフトを整理して保管する煩わしさもなくなり、お手軽になりました。

従来の会計ソフトとクラウドシステムとの違い

従来の会計ソフトとクラウドシステムとの大きな違いは2つあります。

1.会計データの消失を防げる

以前は会計ソフトをインストールして会計帳簿を入力していました。この場合はパソコンに会計ソフトをインストールして利用しますので、パソコンが壊れてしまった場合は、会計データも消失してしまいます。

そのため別の媒体(USBなど)にバックアップをしておく必要がありました。

一方でクラウドシステムは、ネットワークを経由して利用するので、パソコンが壊れてしまっても会計データが消失することはありません。

そのため別の媒体(USBなど)にバックアップするという概念は無くなりました。

2.複数のパソコンに登録できる

会計ソフトで入力する場合は、会計ソフトをインストールしたそのパソコンが、会計データを管理していたので、複数台のパソコンに会計ソフトをインストールしても、主たるパソコン以外のパソコンで、入力された会計データは、反映させることができませんでした。

その為1台のパソコンのみで入力する必要がありました。

一方でクラウドシステムはネットワーク経由ですので、複数台のパソコンに登録しても、入力された会計データは、その登録した複数台のパソコン全てに反映させることができます。

クラウドシステムの特長

クラウドシステムの特長は大きく分けて次の2つです。

1.会計帳簿の入力方法

入力方法は、従来の会計ソフトの入力方法と特に変わりはありませんので、大きな混乱もなくスムーズです。

2.電子帳簿保存

会計帳簿は税法に基づいた電子帳簿で保存されますので、紙で印刷して保存する必要はありません。もちろん紙で印刷して保存することもできます。

監査方法は2種類

クラウドシステムを導入したことにより、監査方法は次の2週類から選択できるようになりました。

1.訪問監査

この訪問監査が従来の方法で、毎月訪問して監査します。なお会計ソフトは会計データの消失リスクを回避するため、クラウドシステムを使用します。

2.クラウド監査

新しい監査方法で、毎月クラウドシステムに監査資料を保存して頂くことによって、事務所のパソコンから監査ができるようになりました。この方法により遠方や訪問が困難な場合でも監査ができるようになりました。

クラウドシステムの今後の課題

クラウドシステムは非常に良いシステムなのですが、やっかいな点があるのも事実です。1番の難点は動きが遅いことで、イライラすることも多々あります。

これは今後の改善点として期待したいところです。

<会計事務所から一言コーナー>

従来は全ての関与先に対して毎月訪問の上、会計帳簿を監査(巡回監査)していました。そのため関与先に対しても「毎月1回訪問して監査しますのでおつきあい下さい」とお願いしていたものです。

ところが皆さんもご承知の通り、新型コロナウイルスによって行動制限がかかり、訪問による監査が困難になりました。とはいえ訪問による監査ができなくても監査は必要であり、考えた末に登場したのがクラウドシステムでした。

このシステムの導入により、訪問できなくても毎月の監査資料をクラウドに保存すれば、監査することができるようになり、コロナ禍でも無事に監査を進めていくことができました。

たとえ地震等による災害があっても申告が無くなるわけではありません。申告期限を延長や、災害による税の特例があったりはするのですが、申告そのものから逃げることはできないのです。

クラウドシステムは、まだまだこれからのシステムで、改良点もたくさんありますが、現代社会に順応したシステムになることを期待しています。