継続して取引が行われる取引先に対して1か月にまとめた請求書を作成して入金されたり支払ったりしますよね。これらは売掛金や買掛金として管理していきます。
そして経営をしていく上でこの売掛金と買掛金のバランスはとても重要になってきます。
売掛金と買掛金は資金繰りの要
資金繰りを考える時は売掛金と買掛金からスタートします。翌月にはいくら売掛金の入金があっていくら買掛金の支払があってその残りで給料や経費を支払ってから借入金を返済して…それで預金が増えるているかどうか?という具合です。
そして貸借対照表では売掛金は流動資産に表示され買掛金は流動負債に表示されています。それらを見ていくことで資金繰りがわかるようになります。
売掛金>買掛金
売掛金が買掛金よりも大きいケースです。これは入金の方が支払よりも大きいことを意味するため良い状態と言えます。
さらにその差額で人件費や経費を支払い借入金の返済もできたらまさに理想の状態です。ところがなかなかそうはいきません。
買掛金の支払は翌月なのに対して売掛金の入金の一部が翌々月なんてことありますよね。この場合は売掛金が買掛金より大きくても資金繰りが厳しくなる可能性が高いです。
売掛金<買掛金
売掛金よりも買掛金の方が大きいケースです。これは入金よりも支払いが大きいことを意味するため資金繰りが厳しくなります。
とはいえこれには当てはまらないケースがあります。それは売掛金がほぼ無しの状態の場合です。
主に飲食店などがこれに該当し売上高は今でこそクレジットカードの普及で売掛金が発生するケースはありますがほとんどはその場で現金回収です。
そして仕入は1か月でまとめて支払うので買掛金が発生します。このケースは「売掛金<買掛金」となりますが問題ありません。
売掛金>買掛金の方が良い
ずっと平時だという保証があるのならば売掛金と買掛金のどちらが大きくても問題ないのかもしれせん。ところがそうはいきませんよね。経営なんて有事だらけですよね。
となればやはり「売掛金>買掛金」の方が良いです。売上高は常に変動しますので「売掛金<買掛金」では売上高が減少した時は少ない入金で大きい支払をしなければならず「売掛金>買掛金」の状態よりも資金ショートしやすいのです。
支払はできるだけ早く済ませて少しでもリスクを回避しておきましょう。
<会計事務所から一言コーナー>
以前に資金繰りについてのセミナーをしたことがありその時に参加者の方から「昔は売掛金>買掛金が当たり前だったのですけど今は教えないといけないのですね」と言われたことがあります。
また社長が「支払は早く済ませる」という考え方に対して経理担当者が「資金繰りが厳しくなる」と意見が食い違うのをよく見かけます。これらはどれも正解です。問題なのはバランスであり内容なのです。
売掛金<買掛金でその内容が売掛金の回収サイトは主に翌月なのに対して買掛金の支払サイトが翌々月のケースは売上高が減少した時に資金繰りが厳しくなります。
この時は早く手を打たないと融資を申し込んでもうまくいかないケースや融資が間に合わないケースが考えられます。
売掛金>買掛金でその内容が売掛金の回収サイトは翌月と翌々月なのに対して買掛金の支払いサイトが翌月のケースは売上高が増加する時に資金繰りが厳しくなります。この時に注意しなければならないのは借入金の増加です。
売上高が増加するときは勢いがありますので強気になりがちです。とはいえ借入金が増加してしまってはせっかく儲けても何にもなりません。
取引先によっては〇%引きなど手数料を引かれるケースもあるようですがそれでも時にはリスク回避の一つとして売掛金の回収サイトを短くした方がいいかもしれません。
売掛金と買掛金は資金繰りに直結します。滞らないよう常に循環させましょう。