割合は少ないですが、自己資金経営の会社は実際に存在します。とはいえなかなかそういうわけにもいかず借入金がある会社の方が大多数なのが現状です。

借入金があることについて、資金繰りにどんな影響を及ぼすのか見ていきましょう。

借入の必要性

借入金(「借金」)に対してネガティブなイメージをもつかもしれませんが、会社を経営していく上で資金繰りは大変重要になります。そして、借入をするのは、案外ポジティブな時の方が多いのです。

それでは、どのようなときに借入するのかを紹介していきます。

運転資金による借入

会社経営をしていく上でどうしても必要なのが運転資金です。それはほとんどの会社で、次のようなことがおこるからです。

①売上を1か月にまとめて請求して集金する。
②仕入や外注を1か月にまとめて支払う。

この①と②の期間が一致するか、①の期間の方が短かければなんとかなるかもしれません。

しかしながらそんなケースはまれで、支払は翌月なのに対して、集金は得意先の〆切日と支払日に合わせることが多いため、翌々月になるなんてことはしょっちゅうです。

この②よりも①の方の期間が長い場合に借入が必要になることがあります。この場合はポジティブな借入ですので、会社が債務超過状態などの原因がなければ、融資を受けられる可能性が高いです。

設備投資による借入

結論から言うと設備投資がない会社なんてある?という感じです。簡単に説明するとインフラや機械だけでなく車両やパソコンも設備投資だからです。

僅少な金額ならば自己資金で購入した方がいいですが、大きい金額になると自己資金があっても一部を借入した方が良いケースがあります。

自己資金はできることならば運転資金にとっておいた方が良いですからね。設備投資は必要なのでこれもポジティブ借入になります。

リース取引

設備投資をリース取引にする場合があります。リース取引は利息も含めた合計金額を、一定期間で毎月同額を支払っていく方法で、借入の返済とよく似ています。

とはいえ借入とは決定的な違いがあります。それは所有権がリース会社にあることです。それをよく理解した上で決定するようにしましょう。

会計事務所から一言コーナー

単純に「借金」と聞けば確かにネガティブな印象があると思います。

しかしながら冒頭にも述べましたが、「借入」を申込むタイミングは「会社に勢いがある」時で、「返済できる自信」からくるポジティブな時の方が多いのです。

借入金は決して悪いものではなく会社の資金繰りにも必要不可欠です。要は借りすぎないことに注意すればいいのです。簡単にいいましたが、この「借りすぎない」ことの加減は非常に難しいです。

ここで必要になるのがバランスシート(貸借対照表)です。「売掛金」と「買掛金」のバランスや現在の借入金残高を参考にするのです。そして設備投資による借入ならば長期返済で、運転資金による借入ならば短期借入の方がいい場合があります。

借りたら当然ですが返済しなければなりません。「借りすぎない」工夫は借りる前に十分に考えることです。上記のことをよく吟味してから借入を申込むようにしましょう。