人が生活をしていく上で経費は必ずあるもので、これを所得税法上では家事費と呼びます。

そして個人事業者は生活をしていく上での経費(家事費)と、事業を行っていく上での経費(事業経費)と、家事費と事業経費が混在する経費(家事関連費)があります。

これらをどのように取り扱うのかを見ていきましょう。

個人事業者の経費は3つ

個人事業者の経費は大きく次の3つに区分されます。これら3つの内、「1.家事費」と「3.事業経費」の取り扱いは明確なのですが、問題なのは「2.家事関連費」の取り扱いをどうするかです。

1.家事費

家事費とは生活をする上での費用のことで、所得税法上の必要経費(事業経費)になりません。

2.家事関連費

家事関連費とは家事費と事業経費が混在する費用のことで、所得税法上において一定の条件を満たせば、一部は必要経費(事業経費)になる可能性があります。

3.事業経費

事業経費とは事業を行う上での費用のことで所得税法上の必要経費(事業経費)になります。

家事関連費

個人事業者には自宅に事務所があるなど(居宅兼事務所)、家事費と事業経費とが混在している(家事関連費)場合かあります。

この家事関連費の取扱いについては、国税庁ホームページに次のように記載されています。

家事関連費における必要経費算入については、その支出する金額のうち、その業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、その必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、その必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。

要約すると事業経費部分の金額が明らかな場合は、必要経費(事業経費)に算入することができるということです。

家事関連費の具体例

家事関連費を必要経費(事業経費)として明らかにするための方法論としては、やはり合理的な計算により算定することになります。

具体例として自宅兼事務所を見ていきましょう。

1.自宅兼事務所(賃貸の場合)

自宅兼事務所が賃貸の場合においては、その支払う家賃の一部が必要経費(事業経費)にできる可能性があります。

この時の合理的な算定方法としては、床面積割が多く用いられています。

<具体例>
家賃12万円で床面積が100㎡の3LDKのうち1部屋(25㎡)が事務所の場合

12万円×25㎡/100㎡=30,000円

上記の算式により、必要経費(事業経費)になるのは30,000円となります。

2.自宅兼事務所(持家の場合)

自宅兼事務所が持家の場合においては、建物部分について所得税法に基づき減価償却費を計算し、その計算した金額の一部が必要経費(事業経費)にできる可能性があります。

この時の合理的な算定方法も「1」と同様に床面積割合が多く用いられています。

<具体例>
1階が事務所で2階が居宅の場合で、所得税法上で計算した減価償却費が200,000円の場合
(1階の床面積と2階の床面積は同じとします)

200,000円×1(1階部分)/2(1階と2階の合計)=100,000円

上記の算式により、必要経費(事業経費)になるのは100,000円となります。

<会計事務所から一言コーナー>

家事関連費の「合理的な算定方法」については曖昧なところがあり、それが逆に難しいです。

とはいえ、必要経費(事業経費)となるべき経費があるのならば、それは必要経費(事業経費)として取り扱っていきたいところです。となると問題は「合理的な算定方法」、要は「合理的な案分方法」です。

例えば自家用車兼営業車両であれば、営業使用日数で案分するなど、何か根拠のある案分方法により必要経費(事業経費)として計上しましょう。

案分方法はよく吟味した上で、逸脱せずに客観的に判断しましょう!!