今回は 法人について(その2届出等編) です。
(法人の設立については 法人について(その1設立編) を参照して下さいね)
法人について (その1設立編)
官公署等へ届出書類を提出
法人を設立したら、次に行うのは各官公署等への届出書類の提出です。。。
次のところへそれぞれ必要書類を提出していきます。
1.税務署
2.都道府県税事務所
3.市町村
どのような書類を提出するかを説明する前に、
「法人税等」について少しふれたいと思います。
「法人税等」とは、法人に課税される税金で
1.税務署・・・・・・・法人税
2.都道県税事務所・・・法人事業税・法人府民税
3.市町村・・・・・・・法人市民税
これらを合わせて「法人税等」と総称します。
そして法人を設立したら、これらの官公署へそれぞれ届出が必要となります。
それでは説明していきますね。
1.税務署
税務署へ提出する書類は実はたくさんあります。
しかしながら、その全てを提出しなければならないのかといえば、
そうでもありません。。。
以下、「提出しなければならない書類」と、「提出できる書類」に
分けて説明していきますね。
「提出しなければならない書類」は
①<法人設立届出書>
②<給与支払事務所等の開設届出書>
で、以下具体的に説明していきます。
①<法人設立届出書>
この書類は、問答無用です!!
法人を設立したならば、「設立の日以後2月以内」に必ず提出する書類となります。
「定款の写し」と「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」を添付して提出します。
②<給与支払事務所等の開設届出書>
給与の支払者は、毎月の給与の支払い時に、所得税を天引き(徴収)し、
翌月10日までに納付しなければなりません。
これを源泉徴収義務といい、給与の支払者(源泉徴収義務者)は、この義務を負います。
この書類は、源泉徴収義務者が、給与の支払いを始める場合に提出する書類で、
義務というよりは、提出しないと税務署から納付書が送られてこないので、
法人側にとっても「提出しなければならない書類」となります。
法人を設立すれば、従業員がいなくても代表取締役の役員報酬を支払うので、
全ての法人が提出する書類となるでしょう。
「提出できる書類」は
①<青色申告の承認申請書>
②<源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書>
③<棚卸資産の評価方法の届出書>
④<減価償却の償却方法の届出書>
などで、以下具体的に説明していきます。
①<青色申告の承認申請書>
この書類は、「提出できる書類」とはなっているのですが、法人を設立して
青色申告をしないという法人は、ほとんどいないと思います。
白色申告(青色申告以外の申告)ならば、「会計帳簿を記録しなくていい」
との誤解があるようですが、法人は、青色申告でも青色申告以外の申告でも
「複式簿記による会計帳簿を記録するのが前提」になっている今日です。
そして特典があるのは、青色申告です。
青色申告以外の申告には特典は何もありません。。。
ぜひ<青色申告の承認申請書>を提出しましょう。
法人を設立した事業年度から青色申告する場合は、「設立の日以後3月を経過した日 と 当該事業年度終了の日 とのうち、いずれか早い日の前日まで」に、
<青色申告の承認申請書>を提出する必要があります。
提出期限が遅れたら、設立した事業年度は、青色申告以外の申告となってしまいます。
法人を設立したならば、早めに提出しましょう。
②<源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書>
給与の支給人数が、常時10人未満(代表取締役の役員報酬も含みます)の源泉徴収義務者は<源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書>を提出することにより、
天引き(徴収)した所得税を、次のように6か月分まとめて納付することができます。
1月から6月まで 7月10日まで
7月から12月まで 翌年1月20日まで
便利な反面、注意点として、6か月分まとめるので、金額が多額になります。
別に通帳を作成するなどして、必ず運転資金と分けて保管するようにしましょう。
③<棚卸資産の評価方法の届出書>
棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、最終仕入原価法などがあり、
どの評価方法にするかを届出します。
提出しなければならないという書類ではないので、特にこだわりがなければ提出しなくても良いでしょう。
未提出の場合は、法定方法の「最終仕入原価法」となります。
④<減価償却の償却方法の届出書>
減価償却の償却方法は、定額法、定率法などがあり、どの評価にするかを届出します。
この書類も、③<棚卸資産の評価方法の届出書> と同様で、提出しなければならないという書類ではないので、特にこだわりがなければ提出しなくても良いでしょう。
未提出の場合は、法定方法の「定額法」と「定率法」になります。
2.都道府県税事務所
都道府県税事務所に提出する書類は、「法人設立届出書」です。
税務署にも提出しますが、都道府県税事務所にも届出が必要です。
「法人設立届出書」の様式は、税務署とは異なり、また各都道府県税事務所によっても
異なり、その上 提出期限も各都道府県税事務所によってバラバラです。
必ず管轄の都道府県税事務所に提出するようにしましょう。
この書類も、税務署と同様に「定款の写し」と「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」
を添付して提出します。
3.市町村
市町村に提出する書類も、税務署・都道府県税事務所と同様で「法人設立届出書」です。
これも都道府県税事務所と同様で、様式も提出期限も、各市町村によってバラバラです。
必ず管轄の市町村に提出するようにしましょう。
この書類も、都道府県税事務所と同様に「定款の写し」と「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」を添付して提出します。
最後に金融機関もお忘れなく
実は法人設立日の時点では、法人名の通帳はないのです。。。
法務局へ登記して初めて「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」と法人の「印鑑証明書」が
発行され、これらの書類がなければ、法人名で通帳を作成することはできません。
その為、法人設立日から法人名の通帳が作成されるまでは、数日から数週間のタイムラグがありますのでご注意下さい。。。
最後の最後に
以上法人について、その1設立編・その2届出編 と2回にわたってお届けしました。
法人設立には、法務局へ登記しなければならないので、司法書士と思いがちなのですが、実は最初は会計事務所です。。。
法人設立にはたくさんの事柄を決めていかなければなりません。
それを会計事務所と一緒に考え、アドバイス(たとえば決算月など)を貰いながら決定していくのです。
その全てが決まったら、ようやく法務局へ登記のため司法書士へ・・・
という順番になります。
法人設立は、まず契約している会計事務所にご相談下さいね。
<会計事務所から一言コーナー>
一言と書いてありますが、今回は二言です。(笑)
一言目は
たくさんの書類ですが、それぞれの書類の提出期限ぎりぎりになってから提出するのではなく、法人を設立すれば、「直ちに」全ての書類を提出するようにしましょう。
(詳しくは、契約している会計事務所に相談して下さいね)
二言目は
青色申告の最大の特典といっても過言ではない、「欠損金の繰越控除」について、少しお話しようと思います。
法人を設立して、ずっと永遠に黒字であればいいのですが、さすがの大企業でも、これはありえないことで、やむをえず赤字になってしまうことがあります。
「欠損金の繰越控除」は、その赤字になってしまった時に役立つ特典です。
一般的に「赤字」といわれるのを、税法用語で「欠損金」と呼び、この「欠損金」を、
翌事業年度以降10年間繰り越すことができるので、黒字になっても「欠損金」の額を
超えるまでは法人税等が課税されません。
これは青色申告のみ適用され、青色申告以外の申告(白色申告)には適用されません。
青色申告は「当たり前!!」として位置づけましょう。。。
法人について (その1設立編)